ジャズ馬鹿選盤日記

ジャズ馬鹿男の気まぐれ選盤をお楽しみください。 何気ない日常と共にジャズを。

2018年01月

寒波到来。

東京では近年稀にみる大雪。
ブログ読者の方の事故、災害被害の無いように祈るばかりでございます。


こうも寒いと外に出るのも億劫、仕事や学校に行く朝も帰りも辛い事…
でも行かねばならぬのです、日本人はマジメだよ、ホント。

大雪、災害のある危険が感じられる場合は日本国中、休みにしちゃいけないのかっ!
そうボヤくけど、けっこう何かとストップしちゃって結局困るのは自分だったり…

あれれ、堂々巡りになって結論が出ないぞ、これは!←いつもの事

もうこうなったら、

寒さを吹き飛ばす

強力な作品を選盤いたしましょう。

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本田珠也トリオ「Second Country」
レーベル:ANTURTLE
リリース:2017年

〈レコーディングメンバー〉
本田珠也(ドラムス)
守谷美由貴(アルトサックス、8曲目のみテナーサックス)
須川崇志(ベース)
峰厚介(テナーサックス 5曲目にゲスト参加)


菊地雅章さん、ケイ・アカギさんというワールドワイドなピアニストとの共演や自己のバンド、また近年では箏の八木美知依さんとのデュオ「道場」など、幅広く旺盛な活動を続けるドラマー、

本田珠也さん

本田さんが定期的に活動を続けるサックストリオでのアルバムが昨夏リリースされました。

同メンバーでのライブ演奏↑

〈収録曲〉
1.Harvest Moon
2.M's Dilenmma
3.むかしむかし
4.Key Man
5.宮古高校校歌
6.Mad House
7.Awakening
8.Second Country
9.Samba de Orfeu
10.This Love of Mine

再生と同時にダイナミックなスティックさばきが耳に入ってくる。
ライブ感のある生々しい音、いや、

ジャズの音

がスコーンと体内に染みていく。
地の底から湧き上がる活力に満ちたドラミング、地底奥深くまで根を生やす須川さんのベースの音の導線が聴覚から視覚にまで伝わってくるかのごとき迫力。
一心不乱にその地の上にサックスの大樹がそびえ立つ。

“M's 〜”でも三者の音が均衡に衝突する、その力が満ちた演奏をもっと欲しがっている事に気付くのはあっという間でした。

このアルバムを語る上で外せない(全曲外せないのだが)のは、“宮古高校校歌”、そして表題曲“Second〜”でしょう。
前者は本田さんの祖父が作曲したという実在の校歌でこの曲には本田さんの父、日本ジャズ史上屈指のピアニスト、

本田竹広さん

の盟友であるサックス奏者、

峰厚介さん

がゲスト参加し、守谷さんと激しくぶつかり合います。

後者は竹広さんの名作“浄土”に収録のナンバーをじっくりと。
この曲では守谷さんはテナーサックスでの演奏ですがこれがまたまたよく歌い、気持ち良い事この上ない。
珠也さんの粘りっ気のあるグルーヴがクセになります。

ブログ主としては“Samba〜”には思わず日本のジャズ好きとしてはニンマリしてしまうテイク。いやこれはガッツポーズだ。


珠也さんのライナーからお言葉を拝借するが、このアルバム全編にわたって

叙情が満ち満ちている

規格外のスケールと共に巻き起こる一大叙事詩に、さぁ貴方ものめり込みましょう。

セカンドカントリー
本田珠也
2017-08-23



正月休み、久々にゆっくり読書ができました。
あぁ次の正月休みまで、まだまだだなぁ。←当たり前

その時に読んだのが綿矢りささんの

「勝手にふるえてろ」

26歳OLのヨシカは中学時代の初恋の人にいまだに恋い焦がれるが、会社の同僚から告白され、舞い上がるものの、やっぱり私の理想は中学時代の初恋の人…
片思いを成就するのか、それとも現実、目の前の恋愛に向き合うのか…
その様子がコミカルに、しかし後半からはなかなか考えさせてくれる内容になっております。

そして昨年末に映画化されているのをこれまた先日鑑賞。

松岡茉優さんサイコー

なのであります。
まるで彼女のためにあるような映画と言っておきましょう。
ほかの出演者も適材適所の配役。
新年早々、良い作品に出会えました。
ブログ主、激推しでございます。

恋愛模様を描いた作品を聴くと、そういうジャズも聴きたくなって←単純
そこで今回は稀代のボーカリストの逸品を選盤いたしましょう。


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トニー・ベネット「Tony Sings for Two」
レーベル:Columbia
リリース:1961年

〈レコーディングメンバー〉
トニー・ベネット(ボーカル)
ラルフ・シャロン(ピアノ)

問答無用、ジャズ、というよりアメリカのショービズ界のレジェンド(この言葉がこれだけピッタリな方もそうそうおりません)、

トニー・ベネット

近年はレディー・ガガとのデュエットアルバムや様々なジャンルのボーカリストと共演も記憶に新しいトニー。
彼の音楽パートナーとして、長年共演した名ピアニスト、

ラルフ・シャロン

の伴奏のみで歌い上げる様々な愛の歌。



〈収録曲〉
1.I Didn't Know What Time It was
2.Bewitched
3.Nobody's Heart Belongs To Me
4.I'm Thru With Love
5.My Funny Valentine
6.The Man That Got Away
7.Where or When
8.A Sleeping Bee
9.Happiness is A Thing Called Joe
10.Mam's Selle
11.Just Friends
12.Street of Dreams
13.Skylark

トニーの代表曲、“想い出のサンフランシスコ”を発掘したのがラルフというのはよく語られるエピソードなのですが、それだけトニーの歌声の良い部分を理解しているという事がよくわかる話だと思います。

張りのある声で朗々と歌い上げるトニーの歌声に静かに寄り添い、シンプルな彩りながら、最大限に魅力を引き出すラルフのピアノ。

1曲づつは短い曲なら1分半、長くとも4分に満たない演奏時間なのですが全て聴き終えた時の充足感は長く残ります。

“I'm Thru〜”での堂々と振る舞いながら、どこか寂寞とした心持ちを感じさせる表現力、
“Happiness Is〜”での熱情溢れる歌唱など、ピアノ伴奏のみだからこそ映えるトニーの歌唱力の高さがこれでもかと伝わります。

ラルフの柔らかなピアノがトニーの息吹に合わせるかのように絡む“Just Friends”のリラックスしたテイクもいいですねぇ〜。

ジャズピアノをされていて、歌伴に興味がある方は聴いていて損はないと思いますよ!←何様

トニーはビル・エヴァンスともデュオアルバムを出していますので、またそれはいつか別の機会にご紹介いたしましょう。

Tony Bennett Sings For Two
Tony Bennett
2013-05-28



あけましておめでとうございます!


て、サラッとよく言えたもんです。笑
またまたご無沙汰、てこの挨拶ももういいよ!
という声が多方面から…

久々にログインしたら、スマホから書きやすくなってる!
これは頑張ってまた更新しろ、とライブドアブログさんからの厳しくも暖かい優しさ…なんて。

年明けから

小室哲哉さんが引退


って、なんだかなぁ。
小学校の時、何気なく口ずさんでいたTKサウンド。
熱烈に追いかけてたわけではないですが、
なんだか一つの時代の終焉を感じて寂しいです。

ちょっとしんみりしてるので、ハッピーなムードでスウィングする作品を選盤いたしましょう。



トミー・フラナガン「Sunset and the Mockinbird  The Birthday Concert」
レーベル:BLUENOTE
リリース:1998年
〈レコーディングメンバー〉
トミー・フラナガン(ピアノ)
ピーター・ワシントン(ベース)
ルイス・ナッシュ(ドラムス)

“名盤請負人”と呼ばれるほど、
数々の名作に参加。
華麗なプレイを聴かせた端正なピアノタッチが実に気持ち良い、

トミー・フラナガン

エラ・フィッツジェラルドの歌伴も務めるなど、まさにどんな状況においても、いい仕事をするお方でした。
キャリア晩年に差し掛かる80年代後半から90年代、自身のリーダーでも魅力的なピアノトリオ作品を残しましたが、今回のこのアルバムもそのうちの一つ。


↑同メンバーでのライブ演奏から

〈収録曲〉
1.Birdsong
2.With Malice Toward None
3.Let's
4.I Waited for You
5.Tin Tin Deo
6.Sunset and the Mockingbird
7.The Balaenced Scales/The Cupbearers
8.Good Night My Love

ヴィレッジ・ヴァンガードで行われたトミー・フラナガンの67歳の誕生日ライブを収録した作品です。
ピーター・ワシントンとルイス・ナッシュはフレッシュかつ細やかなサポートで御大を盛り立てています。

フラナガンが初っ端から快調に飛ばす“Birdsong”からトリオの息はピッタリ、フラナガンが弾き始め、後にベースとドラムが入ってくる瞬間がいつ聴いてもたまりません!
続く“With Malice〜”、

レギュラートリオだからこそ作り出せる寛ぎの音空間。
フラナガンって、イントロにいつも聴き入ってしまうのですが、この作品でも各曲魅力的なイントロで聴き手をすぐさまライブの世界に誘ってくれます。
“I Waited〜”のような曲でも、派手すぎない自然な美しさを巧みに引き出して、もうこちとらウットリですよ。
それは表題曲、“Sunset〜”でもたんまりと堪能できます。
うーむ、フラナガンのピアノは、

なんでこんなに麗しいんでしょう。


ジャズの旨味が濃縮された、巨匠フラナガンのピアノを満喫できる事間違いなし!
ピアノトリオの模範ともいえる90年代ジャズ名盤としてオススメ致します。


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