しがないサラリーマンの昼食は
某牛丼チェーン店が多い。
いや、ワンコインもかけたら贅沢だ(ほんとにそうですよ)と
自分に言い聞かせ、最寄りのお店へ。


特に当てもなく入ってメニューを形式的に眺めて、店員さんを呼ぶ。
注文を目の覚めるような大きな声で復唱、いやぁ元気いいなぁ!好印象。

で店員さん厨房まで行ってさらに復唱。
マニュアル徹底してるのかなぁ、確実だなぁと感心。


と…さっきの店員さんが戻ってくる。

店員さん「えー、並で卵ありでしたっけ?」

私「いや、大で卵ありでつゆだくです。」

とのやり取りをする。
誰にでも聞き間違いや、聞き忘れはあるさ、うんうん。


そしてついに登場!
本日の昼飯!ジャジャーン!


店員さん
「お待たせしました!並の卵ありです!」


私「並?? ??
いや、大ですよ、注文したの。」

店員さん「失礼しました!」

と改めて持ってきて、
今度は間違いない様子。

私「で、これ、つゆだくですよね?」

店員さん

「……………
 

確認いたしますっ!」


私「も、もういいです!これでいいです!」

とささやかな昼飯のつかの間、大だか並だか、つゆだくかどうかで
繊細な神経をすり減らしてしまったのでした。

まーったくもう!と頭に血が上りましたが、いやいやそもそも過剰なサービス、
完璧な接客を求めてはいかんですよ。超高級店ではあるまいし。

心を広く持て、クールに振る舞え…

と自分の胸に訴えかける時に流れてきたら嬉しい作品を選盤いたしましょう。



アニー・ロス「A Gasser!」
レーベル:Pacific Jazz (パシフィック・ジャズ)
リリース:1959年

〈レコーディングメンバー〉
アニー・ロス(ボーカル)
ラス・フリーマン(ピアノ )
ビル・パーキンス(テナーサックス 1~2曲目)
ズート・シムズ(テナーサックス 3~15曲目)
ビリー・ビーン(ギター 3~7曲目)
ジム・ホール(ギター 1~2,8~15曲目)
モンティ・ヴァドウィグ(ベース)
フランク・キャップ(ドラムス 3曲目)
メル・ルイス(ドラムス 1~2曲目,4~15曲目)




ジャズコーラスグループの「ランバート,ヘンドリックス&ロス」の一員としての活躍で知られる、
姉御肌な気前の良い、切れ味ある声で聴かせてくれるボーカリスト、

アニー・ロス

自身のリーダー作となると、さらにそのクールな歌唱をより際立たせて、
「大人」のジャズを聴かせてくれます。この格好良さ、年齢を重ねるごとに
染み渡りそう…



<収録曲>
1.I'm Just a Lucky So And So
2.
You're Nearer
3.
I'm Nobody's Baby
4.
Lucky Day
5.
Invitation To The Blues
6.
You're Driving Me Crazy(Instrumental)
7.
Invitation To The Blues (Instrumental)
8.
Everything I've Got
9.
I Didn't Know About You
10.
I Was Doing All Right
11.
You Took Advantage Of Me
12.
I Don't Want To Cry Anymore
13.
Bones For Zoot(Instrumental)
14.Funky Old Blues(Instrumental)
15.Brushes(Instrumental)

当時のウェストコースジャズの腕利きを従え、
夜、とりわけネオン輝く都会の夜空にマッチしてこの上ないムードを醸成。
重すぎず、軽すぎず、このバランス感覚を出すのは並大抵の力では出せません。

I'm Nobody's Baby ”でのちょっと突っぱねた感じで気風よく歌うアニー。
続く“Lucky Day”でのスキャットから始まるアレンジもとっても

自然

なんですよね~。

I Don't Want To Cry Anymore”における、
自己を見つめて、自分に語りかけるかのような歌唱、
これぞ都会の孤独、寂しさをうまく表現しています。

このアルバム、ズート・シムズがフィーチャーされていて、
確かにやっぱりズート最高!!となるんですが、
1、2曲目に参加の

ビル・パーキンスもたまらん!!!

アルバムに数曲あるインストも決してオマケ的内容でなく本格的です。




こういう小粋なジャズをチェーンの牛丼屋で聴いても味気ないですが。


A Gasser!
Annie Ross
Capitol
1990-10-25