ジャズ馬鹿選盤日記

ジャズ馬鹿男の気まぐれ選盤をお楽しみください。 何気ない日常と共にジャズを。

カテゴリ: ジャズ


長らくお休みしていた当ブログ、
復活の狼煙をあげますよ!
今回から、時事ネタ季節ネタはすっ飛ばして、
作品紹介に特化します!
せめて毎月1回は書けるように頑張ります…

ブログ復活第一弾に紹介するのはこのアルバム!!

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土岐英史 「BLACK EYES」
レーベル:Days of Delight
リリース:2018年

〈レコーディングメンバー〉
土岐英史(アルトサックス)
市原ひかり(トランペット、フリューゲルホルン)
片倉真由子(ピアノ)
佐藤“ハチ”恭彦(ベース)
奥平真吾(ドラムス)


日本のジャズ、フュージョンシーンのみならず、山下達郎、竹内まりやなど数々のレコーディングにも参加した、まさにサックス奏者の最高峰のお一人、

土岐英史さん

日本発のジャズレーベルの雄、「スリーブラインドマイス」などのリーダー作、90年代初期にリリースされた名バラード集、「In A Sentimental Mood」、「The Good Life」などなど土岐さんのジャズでの名作、名演も数知れず。
これらの作品はまたいずれ紹介させていただきたいと思います。

今回は岡本太郎記念館(館長の平野暁臣さんは大のジャズ好き!)とタワーレコードが共同で設立したジャズレーベル、

「Days of Delight」

の記念すべき第1作!!
日本のジャズのこれまでと未来を繋ぐレーベルで今後も要注目です。

本作は土岐さんがここ数年レギュラーグループとして活動しているサウンドをそのまま詰め込んだ作品です。
レコーディングも下記動画をご覧いただけたらわかるように、セパレートなしのライブに近いセッテイングでの録音。


〈収録曲〉
1.Black Eyes
2.845
3.Picasso's Holiday
4.Little Phoenix
5.C Minor
6.Thunder Head
7.Lady Traveler
8.MA-TA-NE!

数多くのライブ、そしてツアーを経ているだけあって、バンドのコンビネーションは抜群。

少ない音数ながら陰影を巧みに表現する片倉真由子さんのピアノがリードし、力強い土岐さんのアルトが続く“Black Eyes”から早速引き込まれます。
太く艶やかで、繊細な機微を表現する唯一無二のアルトサックス…

やっぱり大好きだなぁぁぁ。

奥平さんと佐藤ハチさんの力強いリズムセクションのプッシュを受けて、フロント陣が豪華絢爛に迸る音をぶつけ合う“Picasso's Holiday”。

土岐さんが長年愛奏する代表曲の一つ、
“C Minor”もそれぞれのメンバーの音に迷いがなく、各人がこの曲の意図を良く汲んでいる事が容易に伺えます。
スモーキーに薫る市原さんのトランペットと土岐さんのサックスが相互に刺激しあって好演。
この2人、いやこのバンドの演奏を聴くと、
ジャズという音楽はいかに

会話

が大事かということを改めて教えてくれます。

これまでにも収録された曲は深化し、
アルバム初収録となった曲達は今後のライブでさらに育まれていく事でしょう。
メンバーにまつわる曲が含まれているので、
詳しくは是非CDのライナーノーツで!


これまでの土岐さんのジャズサックスプレイヤーとしての振り返りとこれからを予見するような充実の作品です!!

岡本太郎さんの作品を大胆に使った印象的なアルバムジャケットも素晴らしい…
褒めてばっかりですが、

本当にオススメなので!!!


Black Eyes
土岐英史
2018-10-17







お盆休み。

ひと段落したい所ですが、実家帰省などで
結局忙しいなぁと年々感じます。
とは言いつつ、音楽や本、映画などエンタメ、芸術に
触れる事ができるのもこの時期。

そんな時間にじっくり聴き込める巧みの技が光る作品を選盤!

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ウィリー・ジョーンズ III 「My Point Is…」
レーベル:WJ3 Records
リリース:2017年

〈レコーディングメンバー〉
ウィリー・ジョーンズ III (ドラムス)
エディ・ヘンダーソン(トランペット)
ラルフ・ムーア(テナーサックス)
エリック・リード(ピアノ)
バスター・ウィリアムス(ベース)



ロイ・ハーグローヴやシダー・ウォルトンなどの共演で知られる、
正統派、という言葉が似合うドラマー、

ウィリー・ジョーンズ  III

自身のレーベル、「WJ3 Reccords」を立ち上げ、リーダー作はもちろん、
他のアーティストのリリースも手がけています。
マックス・ローチトリビュートのライブ盤もありましたね~。

今回は大ベテラン、エディ・ヘンダーソンとバスター・ウィリアムス、
ウィリーと共演の多いエリック・リード、そしてブログ主として惹かれたのは

ラルフ・ムーア

の参加でございます!!
80年代~90年代中頃にかけてCRIS CROSSなどでリーダー作をリリース、
またサイドメンでも多く録音に参加していましたが、今やすっかりベテラン。
なんだか久々に名前を見たような…


↑ウィリー・ジョーンズ III クインテット(今回のアルバムとはエディ以外メンバー違います)

<収録曲>
1.Manhattan Melodies
2.The Wind of An Immortal Soul
3.Christina
4.My Point Is
5.The Maze
6.Early Morning
7.Peace
8.Blues For Dat Taz



1曲目の“Manhattan~”。ピアノのエリックの作曲。
鋭いシンバルの響き、うーん、もうこれ聴いただけでウィリーの並々ならぬ腕前が
伝わってくるもんですよ。真っ当至極なハードバップ。
3曲目のウィリー作の“Christina”はエリックをフィーチャーしたバラード曲。
渋い音色で吹き上げるエディーもいいもんです。
ハービー・ハンコック作の“The Maze”はバスターのベースがリードし、
それぞれがレイドバックしたソロを披露する好テイク。

そしてそして、ラルフ・ムーアの魅力溢れるホレス・シルヴァーの名バラード、“Peace”!
丁寧にメロディを吹き上げるラルフ。音色、ソロの内容、やはりこの方は上手い、というより旨いなぁ。

モードを通過したハードバップとでも言いましょうか、丁寧に作られた職人達の技を
楽しめる盤だと思います。

My Point Is
Willie Jones Iii
Wj3 Records
2017-10-20



 ありえない暑さ

が現実に続いていましたが、
朝晩は少しばかり過ごしやすくなったかも…。
まぁまだ油断は禁物ですが。

ブログを更新していない間に、某連盟の元会長が
世間を賑わせました。またまたマスコミのいいネタでしたね。
クリアな団体への変革を遠く祈っております。
このブログを後から見直して、何の連盟か忘れているんだろうなぁ。笑
まぁそんなもんですよね。

さて、最近国内の作品紹介が続きますが今回も良い作品に出会えたので
ご紹介。


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SK4 「SK4 Blues」
レーベル:BS Jazz Support
リリース:2018年

<レコーディングメンバー>
佐藤洋祐(アルトサックス)
菊池太光(ピアノ)
楠井五月(ベース)
山田玲(ドラムス)


東京南青山のジャズクラブの名店、「BODY&SOUL」がまだCDリリースの
少ない中堅、若手のミュージシャン、もしくはお店で組まれたユニットで
ライブだけでなく形として残したいユニットを厳選してリリースしていくレーベルを立ち上げられました。
そうそう、いいライブを聴いた後、あぁ今日のライブをまた家でも聴きたいなぁ、と思うことはライブジャズファンの
常にある願望ではないでしょうか。
それを実現する素敵な企画の第一弾となるのが本作。もちろんお店でのライブ録音。
バンド名の由来は「BODY&SOUL」のオーナー、関京子さんの頭文字を取ってメンバーが名づけたそうです。

アルトサックスの佐藤さんは東京都出身、その後札幌での演奏活動の後に渡米し、
今をときめくスターシンガー、グレゴリー・ポーターのバンドで活躍されました。
現在は千葉県佐倉市を拠点に精力的に活動中。

 

↑グレゴリー・ポーターのライブより佐藤さん出演映像

<収録曲>
1.SK4 Blues
2.Three Little Words
3.Body And Soul
4.子犬のワルツ
5.I'll Be Seeing You
6.Night And Day
7.Giant Steps

ピアノの菊池さん、ベースの楠井さん、ドラムの山田さんそれぞれも東京を
中心に活躍中の実力派。
佐藤さんのサックスを軸に非常にまとまったリズムセクションを形成しています。

楠井さんオリジナル、バンドのテーマ曲とも言うべき、“SK4 Blues”からスタート。
菊池さんの粒立ちの良いブルージーなピアノから入り、佐藤さんが快調に音を鳴らします。
ジャズの重要な要素であるブルースを早速提示してくれる所、

このバンドの指針表明にも思えます!

“Three Little Words”はアップテンポでピアノトリオの流麗な妙技をタップリ堪能させてくれます。
山田さんのブラシがとびきり極上です。音の繊細さ、心地よいスピード感、たまりません
“Body And~”や“Night And~”では正々堂々とまっすぐに歌い上げるのも好印象。

ど真ん中のジャズを求めるブログ主のハートを鷲掴みであります。笑

ショパンの“子犬のワルツ”もしっかりジャズに消化して正に丁々発止。
そして締めは“Giant Steps”、ご馳走だらけです。
終始骨太なビートでバンドを支える楠井さんはどんな曲調でもぶれません。
これぞジャズベースな格好良いフレーズが随所に聴かれます。

ライブ録音で、こんなにも熱く正統派ジャズが聴ける作品、いいですねぇ。
この作品のメンバーはもちろんレーベルの作品達も要注目!

SK4 Blues
SK4
BAJS-001
2018-03-20



熱戦続くW杯。
日本を破ったベルギーがブラジルをも撃破。
やはり今回優勝候補、伊達ではありません。
そしてフランスもウルグアイに完勝と今回、南米勢は苦戦を強いられた大会でしたね〜。

普段サッカーを見ないブログ主でも、W杯期間中はミーハー心丸出しで試合結果が気になりますし、時折試合もテレビ観戦します。
オリンピック然り、国の代表レベルの選手達の真剣勝負はやっぱり面白い!
このヒリヒリする緊張感はなかなか作り出せない物だと思います。


…心配なのが豪雨の被害。
ブログ主もまさかの最寄りの交通機関が運休。
その他近辺交通網がことごとく混乱していますが、こういう時は無理に動かないのが得策ですね。
未だ避難勧告等も出ております、皆さまくれぐれもお気をつけて…
これ以上の被害が拡がらない事を祈るばかりです…
七夕の夜、それが本当の願いでございます。

さて、一刻も早く雨があがってほしい!!
その想いも込めて、陽光眩しいバンドの作品を選盤いたしましょう!


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ネイティブ・サン「RESOART」
レーベル:ポリドール
リリース:1983年

〈レコーディングメンバー〉
本田竹広(キーボード)
峰厚介(サックス)
福村博(トロンボーン)
村上寛(ドラムス)
大出元信(ギター)
グレッグ・リー(ベース)


1978年、ピアニスト本田竹広氏、サックス奏者の峰厚介氏、ドラマーの村上寛氏が中心となって結成されたフュージョングループ、


ネイティブ・サン


ファーストアルバム「NATIVE SON」が約30万枚を売り上げ、アメリカでもアルバムリリース。
その後もヒットを飛ばし、ジャズシーンにおいても既に確固たるポジションを築いていた彼らは、
フュージョンシーンでもその実力を存分に発揮しました。

その後、メンバーチェンジ、加入を経て、レコード会社がビクターからポリドールに変わってからの1枚目がこの4thアルバム。
このアルバムよりベースをグレッグ・リー氏が務めます。矢沢永吉や渡辺香津美との共演など、現在も幅広いジャンルで活躍する名ベーシストです。




↑アルバム収録曲のライブ音源

<収録曲>
1.BAY STREET TALKIN'
2.NITE OF LIMBO
3.CARIBBEAN MANATEE
4.FANTASIA CARIOCA
5.UNDER THE BAHAMIAN MOON
6.MIDNIGHT CRUISING
7.FREEPORT TO NASSAU


全編バハマで録音された影響からか、いつにも増して南国風味は強め。
いきなりグレッグのベースが唸りをあげる“BAY STREET~”は
その力強いグルーヴに乗って、峰と福村が奏でるメロディが爽快。
福村の柔らかくシャープなトロンボーンソロを受けての、

これぞ峰厚介!!

と言える、野生の猛々しさ溢れるサックスソロ。
コンパクトにまとまっていますが、峰氏のエッセンスがしっかり出ていると思います。
2曲目の“NITE OF LIMBO”も村上氏の多彩なリズムとグレッグが生み出す重厚なグルーヴに
フロント陣が上手く絡み合い、都会的な雰囲気を感じる佳曲。

ハードな演奏が3曲続き、後の4曲はタイトルに似合うまさにリゾート感溢れる展開に。
“Under The~”では、

本田が敷き詰めるメロウなキーボードサウンドが気持ち良い!


6曲目のリズミカルな“MIDNIGHT~”、7曲目のレゲエテイスト“FREEPORT~”など、
曲調も多彩で移籍後1作目という事で充実した作品になっています。
大出氏のギターも重要なサウンドの要として随所に切り込んできますね~、いい仕事してはります。
新ベーシスト、グレッグの顔見世という部分もあったのか、氏の演奏もかなりフィーチャーされている印象。


ネイティブ・サンは確かにファーストとセカンド、そしてアメリカでのライブ盤が絶頂期の一つであるとは
思いますが、この作品も中期の円熟したネイティブ・サンサウンドを満喫できる作品で、


ブログ主は好きだなぁ。



リゾート
ネイティブ・サン
ユニバーサル ミュージック
2017-06-21






 やっぱりサッカーW杯の日本戦は気になる…
ポーランドには負けたけど、


祝・決勝トーナメント進出!!

フェアプレーポイント!?
勝ち負け、得失点差以外にもあったのか、
そんな基準が…

まぁ最後の時間を使った作戦は賛否両論起こってますけど、W杯前の下馬評考えたら現状は

大健闘

だと思いますけどねぇ。←出た、ニワカ
次戦はベルギーとの事ですか…つ、強そう。笑

さて、今回は世界のジャズシーンに向けて日本から発信するジャズミュージシャンの作品を選盤いたしましょう。

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渡辺翔太「Awareness」
レーベル:リボーンウッド 
リリース:2018年

〈レコーディングメンバー〉
渡辺翔太(ピアノ)
若井俊也(ベース)
石若駿(ドラムス)

吉田沙良(ボーカル  4、7曲目に参加)


名古屋出身で現在も在住、ここ数年は全国各地からのオファーも多いピアニスト、


渡辺翔太さん


自身のリーダー活動はもちろん、ギタリスト井上銘さんのバンドや「ものんくる」のレコーディングなど、
他方面で幅広く活躍されています。
独特の叙情性と確かなテクニックを兼ね備えたピアニストです。
そんな渡辺さん、遂に自身の音楽性を詰め込んだリーダー作をリリース!

レコーディングメンバーのご紹介。
ベースは若井俊也さん。
井上銘さんのバンドで共に活躍中、またケイ赤城さんトリオへの参加など、
充実した演奏を続ける、シーンに欠かせない一人です。

ドラムスは石若駿さん。
ジャズシーンでの活躍はもはや説明不要、最近ではロックバンド「くるり」の
ライブサポートやシングル曲のレコーディングへの参加など話題に事欠きません。
“歌”に焦点を絞った自身のアルバム、「Songbook」シリーズも好評です。

名古屋でのライブをキッカケに意気投合した3人。
お互いが刺激を受け、高めあう過程で自然と作品が出来上がったそうです。



<収録曲>
1.North Bird
2.Ants Love Juice
3.Aruku
4.かなめ
5.Saga of Little Bear
6.Sign
7.Color of Numbers
8.Goodby and Hello


全8曲はすべて渡辺さんの作曲。
演奏面だけでなく、

コンポーザーとしての高い才能も感じさせる、


多彩な楽曲も本作の魅力だと思います。


オープニングは渡辺さんの代名詞と言える曲、“North Bird”から。
理知的な音像と浮遊感、3人の音が自由に飛び交いますが、
終点は同じ方向に向かっていく…柔軟なトリオの創造性を大いに感じる曲です。

3曲目の“Aruku”はまさに曲名通りの快活に歩くイメージの曲。
こういった曲ではリラックスしつつも要点を押さえた演奏をしないと、
ちょっと軽い感じになってしまうのですが、この3人にそんな心配はご無用。
際立った輪郭を描く若井さんのベースと、音の強弱を巧みに、そして瞬時に
コントロールする石若さんのドラムの細やかな表現に唸らされます。

このアルバムの重要なトピックとして、ボーカルの吉田沙良さんをフィーチャーした
2曲を

取り上げないわけにはいきません。

“かなめ”は吉田さん作詞。自然で伸びやかな歌声にフィットするサウンドが
心地良く、上質のポップスとしても充分アピールする曲。
ジャズというジャンル分けを気にせずに多くの音楽リスナーに注目してほしいなぁ。
“Color of Numbers”はボーカルも一つの楽器として音を作っていく、その音の色彩感覚が
鮮やかに表現されています。歌とバックのリズムセクションがシンクロしないとこういった曲は
成立が難しいだけに、こういった試みを高いレベルで実現している所に大いなる可能性を感じます。

渡辺さんのピアニストとしての魅力を最も個人的に感じたのは、6曲目の“Sign”。
ピアノの音色の美しさが際立つのですが、静かな曲調から段々と移り変わってアグレッシブな
展開を見せても、美しさは変わらずに保っている。並々ならぬスキルと音に対する鋭敏な感性を
持つ渡辺さんを如実に表現する佳曲であり、演奏だと思います。


そして、このトリオの魅力は何といってもライブ!!


アルバムの世界観の何倍も刺激される、凄まじい音楽体験ですので、
作品を聴いたら、ぜひライブチェックを!!


Awareness
渡辺翔太
リボーンウッド
2018-05-30


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