ジャズ馬鹿選盤日記

ジャズ馬鹿男の気まぐれ選盤をお楽しみください。 何気ない日常と共にジャズを。

タグ:ライブ

突然ですが


ジャズの大きな魅力。
作品紹介のブログを書いておきながら言うのも何ですが、


やっぱりライブだと思うんです。

レコードやCD、またはポータブルプレーヤーと音楽を聴く手段は
いくらでもある現代ですが、いつの時代もライブで得る興奮と
迫力は何物にも変え難いです。
かく言うブブログ主も出来得る限り、足を運んで生のジャズ音に
触れております。
作品に関してもライブ盤好きなんですよね、やっぱり。
少しでも生で聴く感覚に近いものを求めているのかな…

今回はそれにちなんで、最近行ったライブの中でも特に鮮烈なジャズを聴かせてくれた
ミュージシャンの新作を選盤いたしましょう。



北川潔「Turning Point」
レーベル:KO RECORDS
リリース:2017年

〈レコーディングメンバー〉
北川潔(ベース)
片倉真由子(ピアノ)
石若駿(ドラムス)

ニューヨーク在住、ケニー・バロンのレギュラーベーシストとして大忙し、
メインストリームのジャズシーンを堂々闊歩するベースマン、

北川潔

北川さんが日本帰国時に必ずと言っていいほど共演を重ねる二人の俊英と
満を持してのピアノトリオ作が本作。
さて、その二人の俊英とは…

アメリカの名門ジュリアード音楽院を卒業、アメリカでの活動の後に
2008年帰国。伊藤君子、土岐英史など大御所からも信頼厚く、またリーダーとしても大活躍中。
確固たるジャズへの想いを音に込める本格派ピアニスト、

片倉真由子


自身のリーダー、また日野皓正のレギュラードラマーとしての活躍に
とどまらずジャズに捉われずに自由奔放にジャンルを行き来するドラマー、

石若駿

国内ジャズシーンの枠組みを取っ払ってその才覚を弾けさせる二人を
どっしりと北川さんが受け止めます。



<収録曲>
1.Zero Gravity
2.Pocono's Delight
3.Linden Blvd.
4.Thought #3
5.Summer Mist
6.Turning Point
7.Thought #4
8.Spring Song
9.Farewell My Freond
10.Backlash

曲はすべて北川さんのオリジナル。
4曲目と7曲目にベースソロが収録されていますが、それがアルバムのメリハリを生み、
効果的な作用を生み出しています。

“Zero ~”から三人の音像が立体的に聴覚を刺激。
石若さんのプリミティブと言えば良いでしょうか、野生の匂いを感じる
ドラミングがトリオのギアを早速最大限へ上げていこうとする。
それに受けて立って、片倉さんのピアノも力強く前進する、

容赦なく!!!

このアグレッシブな姿勢はライブでの演奏と何ら変わりないのが嬉しい。

続く北川さんの愛犬にちなんだ“Pocono's~”はボッサ調のメロディーが映える佳曲で
北川さんのベースソロの歌いっぷりに注目。

アルバムの折り返し地点である5曲目“Summer Mist”はベースが主旋律を担い、
それに他の二人の音が絶妙な距離感で寄り添いながら世界観を積み上げていきます。
日本の夏の終わり、秋に向かう時期の夕暮れをこの曲に感じます。
片倉さんのピアノソロは短い中にしっかりとストーリーを想起させる見事な構成。
こういった曲での包み込むようなドラムワークに石若さんの優れた音のバランス感覚を
感じずにはいられません。



様々な曲調、曲ごとにそれぞれの音のキャラクターが如実に出てきて飽きさせない。
このトリオの持つ、

強固なエネルギー

が眩しいのなんのって。
ラストに“Backlash”のような威勢の良い曲でピリリと締めくくるのも、
このアルバムの無駄の無い造形美をより際立たせる事に成功していると思います。

ブログ主にとって、


ジャズピアノトリオの名盤に。


そして、きっとこれからも愛聴していくことでしょう。

購入はこちらから↓
https://store.cdbaby.com/cd/kiyoshikitagawa2

ちなみに私はライブ会場でゲットしましたよ、ふふふ。笑

昨日、行きつけのジャズバーへライブを聴きに行って参りました。
金曜日の夜、仕事をそそくさと終わらせて意気揚々とそこへ向かいます。

週末のささやかな楽しみ

であります。
昨日はピアノトリオ(ピアノ、ベース、ドラムス)編成でのライブ。
いつもハイレベルな演奏陣による素晴らしいライブが繰り広げれられるお店なのですが、昨晩の演奏は特に素晴らしいものでした。
王道のジャズピアノトリオ、といった趣きで選曲もよく練られていました。
その選曲と、ライブという事も相まって今日紹介する作品を思い浮かべました。
という事でこちらの選盤。


ボビー・ティモンズ「In Person」
レーベル:Riverside(リバーサイド)
リリース:1961年

〈レコーディングメンバー〉
ボビー・ティモンズ(ピアノ)
ロン・カーター(ベース)
アルバート・ヒース(ドラムス)

アート・ブレイキー&ジャズメッセンジャーズ、キャノンボール・アダレイグループに参加、まさにファンキージャズの代名詞と言えるバンドで活躍した名ピアニスト、

ボビー・ティモンズ

ファンキージャズの代表曲、"Mornin'"の作曲者としても有名です。
ゴスペルからの影響を感じさせる深遠な音作り。
胸の内から熱くさせられる彼のピアノタッチは今も色褪せません。




〈収録曲〉
1.Autumn Leaves
2.So Tired
3.Goodbye
4.Dat Dare(Theme)
5.They Didn't Belive Me ✳︎
6.Dat Dare(Full-Length)✳︎
7.Popsy
8.I Didn't Know What Time it Was
9.Softly,As in A Morning Sunrise
10.Dat Dare(Theme)

✳︎…CD Bonus Track

ティモンズの自己のトリオにとって初のライブ作。ヴィレッジヴァンガードでの収録。
ミドルテンポでの"Autumn〜"から黒光りするフィーリングが横溢、ワンタッチで彼の世界観にがっぷり四つで掴まれます。
鍵盤から香り立つ、濃密なソウル。
続くティモンズのヒットナンバー、"So Tired"もアゲアゲ笑

ティモンズ作曲の代表曲、"Dat Dare"は曲間のつなぎとして本来収録されていますが、フルバージョンの演奏もCD化された際に収録。
ロン・カーター&アルバート・ヒースのタイトで重厚なリズムセクションも好演。
アルバート・ヒースの堅実なリズムキープ、アァ延々聴いていたい。笑

ピアノソロで演奏された"Goodbye"といったバラード曲でもボビーの持ち味が見事に発揮されています。
強い打鍵で一つ一つの音が明瞭に響くのですが、その響きはえも言われぬ味わいを放っています。

ヴィレッジヴァンガードで颯爽と演奏するこのトリオを想像するだけで

ワクワクしちゃいます。

昨日、私が聴きに行ったライブでは"Autumn〜"と"Dat Dare"が演奏されていましたが、素晴らしい演奏でしたよ〜。
現代のジャズメン達にも愛される名曲を残した名ピアニストの生々しく静かに熱いタッチを追体験してみては。

Bobby Timmons
1991-07-01


ジャズを聴く場所、聴ける場所。

ジャズ喫茶?

ジャズバー!?

だけでなく、ラーメン屋やカフェなど様々なお店でBGMとしてジャズってけっこう流れています。

でもやっぱり、

ジャズはジャズのお店で聴く

のが一番しっくりくるなぁ。

そういうお店はちょっと敷居が高い、という声を私の周りでもよく聞きますが、いざその扉を開けるとお店のマスターは優しく出迎えてくれる所が多いです。
ジャズの作品や曲を知らなくても、心地良いジャズの流れる空間で美味しいお酒を飲む。

さっきから何回ジャズジャズ言ってるんだ。笑

仕事帰りにちょっと一杯。
休日の自分だけの時間に寛ぎの時を。

ライブをしているお店なら、生演奏の魅力を存分に体感しましょう。
その体験こそ曲を知らなくても、ジャズの醍醐味を感じる事ができますよ。
さて、そんな流れから今回はリラックスしたジャズライブの模様を収録した作品を選盤いたしましょう。


バリー・ハリス「At the Jazz Workshop」
レーベル:リバーサイド
リリース:1960年

〈レコーディングメンバー〉
バリー・ハリス(ピアノ)
サム・ジョーンズ(ベース)
ルイス・ヘイズ(ドラムス)

ジャズにおける主要な演奏スタイルのひとつ、

ビバップ


ビバップスタイルのピアノを確立したのはバド・パウエルですが、そのパウエルのスタイルを体系化して現在も一貫してそのスタイルを守り続けるのが、今回紹介するバリー・ハリス。
今年来日され(御年86歳!)、ブログ主もライブに足を運びましたが、一音弾くだけで、これぞジャズという空気感充満!
その年齢もあり、バップ特有の早いフレーズを弾きまくるというのはなかったです。
しかし、それを補って余りある少ない音数でも弾いている音以上に

音が聴こえてくる

達観の演奏を聴かせてくださいました。

話をこのアルバムに戻しまして、
それではアルバムから一曲どうぞ↓


アメリカ西海岸サンフランシスコの「Jazz Workshop」でのライブ録音。
バリーの途切れることなく澱みなく流れるような語り口。気品も感じます。

ひたすらリズムキープに徹するサム・ジョーンズ。この人の重低音はまさにジャズベースの鑑。

ダイナミックかつ繊細なシンバル使い。
控えめでいながら、常にトリオのグルーヴの推進力として機能するルイス・ヘイズの多彩なドラミング。

それぞれの演奏のどこを取っても、これぞ

ジャズなんです。


〈収録曲〉
1.Is You or Is You Ain't My Baby(Take2)
2.Is You or Is You Ain't My Baby(Take1)✳︎
3.Curtain Call
4.Star Eyes
5.Moose the Mooche
6.Lolita
7.Morning Coffee
8.Don't Blame Me(Take2)
9.Don't Blame Me(Take1)✳︎
10.Woody'n You(Take2)
11.Woody'n You(Take1)✳︎

✳︎CD ︎Bonus Tracks

お客さんのリアクションも上々の様。
こんなライブ聴けて、

ほんと幸せ者ですよ、あなた達!笑


Barry Harris
1991-07-01


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